家も、体も、乗りものも。若いころのやり方が、そろそろ合わなくなってきます。減らして、選びなおして、また始める。その手つきを、一枚の写真から始まるフォトエッセイとして書いていきます。ときどき、建築と旅の話も。
古い家、耐震、空き家、玄関に来る業者のこと。
還暦を過ぎて、また乗りはじめました。行った先の話。
一枚の写真から始まる、名前と、猫と、ヤギの話。
食べたものを、喋って記録する日々。おやつの話も。
おっさんの身だしなみ。減らすと、朝が楽になる。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →サンタの帽子をかぶった女の子と、青いトナカイ。プレゼントの箱。背景は鉛筆で、びっしり塗ってあります。下のほうに、赤と白のテープを切って「TOKYO」。
手描きのクリスマスカードですね。九月にしては、ずいぶん気が早い。これは、どなたに宛てたものですか。
宛先は、私も知らないんです。
昨日、ボランティアで描いてきました。病気の治療や療養をしているお子さんたちのところへ、クリスマスに届くカードだそうです。日本のあちこちに、同じようにカードを描いている方たちがいて、ボランティアの方々の手配で、十二月に届けられる。私の一枚も、どこかの誰かのところへ行きます。
場所は新宿のコワーキングスペース。仲間のひとりが手配してくれました。集まったのは四人です。持ち時間は、二時間少々。
二時間と聞くと、ずいぶん余裕があるように思えませんか。私もそう思っていました。二枚描くつもりでいたのです。一枚仕上げて、勢いでもう一枚、くらいの気持ちでした。
とんでもなかった。
背景を塗っているうちに時間が溶けて、マスキングテープを切っているうちにまた溶けて、気がついたら二時間が過ぎている。結局、一枚です。一枚入魂、ということにしました。
ふだん私は、耐震診断の報告書を自動で作る仕組みをこしらえています。写真六十枚、四章、十二ページの台帳。以前は数時間かかっていたものが、いまは数分で出ます。その数分を作るために、ずいぶん手間をかけてきました。
その人間が、カード一枚に二時間かけている。
われながら、おかしな話です。でも、縮めたいとは思いませんでした。ここは縮めるところではない、と手のほうが知っていた気がします。
ここからは、懺悔です。
実を言うと、昨日はずいぶん書き損じました。線が思ったところへ行かない。それをなんとか辻褄を合わせて、ごまかして、押し切っていく。口もともそのひとつでした。どうにも収まらなくて、最後は黒く塗りつぶしてしまったのです。
描いているあいだは、それで片がついたつもりでいました。
ところが家に帰って、写真に撮って、あらためて眺めてみたら——病気で療養しているお子さんに贈るカードで、唇が真っ黒というのは、どうなんだ。
四十年、線を引いて食べてきた人間が、口もとひとつ描けない。
じつは、写真のうえで直してみました。黒い唇を消して、赤い線を一本、きれいに引いた版をこしらえたのです。この誌面にはそちらを載せようかと、いったんは本気で考えました。
やめました。
お子さんのところへ届くのは、黒いほうだからです。画面の中だけ直したって、仕方がありません。いちばん上に出ているのが、そのまま渡してきた本物のカードです。
どなたに届くのかは分かりませんが、ごめんなさい。唇が黒くて。
まあ、いいか、とも思っています。また描く機会があれば、次は口もとから先に描こう、と。
もう一度、最初の話に戻ります。
このカードの宛先を、私は知りません。お名前も、年齢も、どこの街かも分かりません。描き終えて渡したら、そこで私の手を離れます。返事も来ません。届いたかどうかも、たぶん分からない。
設計の仕事では、こんなことはまずありません。図面には必ず施主がいて、お顔が見えていて、打ち合わせがあって、できあがったものを一緒に見ます。宛先の分からない仕事というのを、私はほとんどしたことがなかった。
だから、下のほうに「TOKYO」と入れました。誰が受け取るかは分からないけれど、東京の誰かが描いたということだけは伝わる。それくらいでちょうどいい気もしています。
十二月に、どこかで誰かが、このカードを開くのでしょう。青いトナカイと、黒い唇の女の子です。
笑ってくれるといいのですが。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →上を向いて撮ったのか、下を向いて撮ったのか。私にはしばらく分かりませんでした。
ざらりとした壁のあいだを、階段が折り返しながら続いています。いちばん奥に、格子の入った窓。そこだけが明るい。この場所は、どこなのでしょうか。
「わあっ……」
地下8階までエレベーターで降り、小さなドアから一歩入った瞬間、思わず声が出た。
光の届かない、暗い場所を想像していた。
ところが、目の前に広がっていたのは、この風景だった。
地下30メートル。
なのに、明るい。
思わず天井を見上げた。
上から光が差し込んでいる。
「あそこが地上なのだろうか」
ここは、東京・永田町にある国立国会図書館。
その地下に広がる、巨大な書庫の一角だ。
職員さんの案内による施設見学では、この書庫にも入ることができる。一般の利用者は、普段ここへは入れない。
私は、自分の著書をこの図書館に納本している。Kindle出版のサポートをしながら、自分自身も本を書いてきた。
「体験を本にして、未来に残すこと」を大切にしているので、自分の本が未来の読者と出会うかもしれない場所を、一度自分の目で見ておきたかった。
国立国会図書館は、納本制度によって、国内で発行された出版物を収集し、保存している。
一般の図書館のように本棚から自由に手に取るのではなく、読みたい資料を申し込むと、職員さんが書庫から探し出し、カウンターで受け取る仕組みだ。
見学の説明では、地下ではたらく職員さんの環境や、災害時のことも考えて、この書庫には照明だけでなく自然光も取り入れられている、と教えてもらった。
だから地下30メートルにいても、これほど明るいのだ。
書庫には、長い年月を経た資料も収められていて、普段は実物を見る機会の少ないものを、見学の際に見せていただくこともできた。
この見学をきっかけに、資料を申し込んで実際に使ってみる体験イベントも、いまは自分で企画している。
本は、読者に何かを伝えるためのものであると同時に、書いた人が考えたこと、経験したことを、未来へ残すものでもある。
私は、本を出版することには、その人が生きた証を残す価値があると思っている。
あの日見上げた天窓の光と、地下に積み重なる本の背表紙を、今もときどき思い出す。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →飛行機の窓から、サンゴ礁に囲まれた島を見下ろしている一枚です。島の上のほうに滑走路らしい白い線があり、畑の区画と、海沿いの集落が見えます。まわりは、何もない濃紺です。
この日は、どこへ向かう飛行機でしたか。窓側のお席は、ご自分で選ばれたものですか。
はじめまして、あつこです。
あの写真は、今年8月、沖縄へ向かう機内から撮った一枚です。沖縄は初めてでした。
きっかけは孫のたっくん、7歳・小学2年生。7月の初め、「ジンベイザメに会いたい」と言い出したんです。
ジンベイザメといえば、沖縄の美ら海水族館。夏休みの自由研究を兼ねて、沖縄行きが決まりました。
慌てて動いたものの、夏の繁忙期で、航空券はなかなか取れませんでした。それでも運良く窓側の席が一つだけ空いていて、そこを確保。一緒に行った長女やたっくんとは、席が離れてしまいました。
そして、美ら海水族館へ。大きな水槽の前で、悠々と泳ぐ姿に圧倒されました。
水槽の主役は「ジンタ」。飼育開始から30年余りになるそうです。館長はサメの研究者です。
とにかく館内は人でいっぱいで、インバウンドの姿も目立ちました。混雑を避けるなら、朝早めか午後3時過ぎがいいでしょう。
沖縄の砂浜って白いんですね。知りませんでした。海は透き通っていて、雲は東京よりずっと私たちの近くにありました。
そうそう、初めて食べた「ポークたまご」というおにぎり。挟まれているのはコンビーフではなく、ポークランチョンミート(豚肉の缶詰加工品)と卵焼き。塩気があって、栄養もしっかりで、東京では見たことのない味でした。沖縄そばも初めて食べました。そばじゃなくて、ラーメンに近いものでした。
3泊4日。気持ちが少しずつほどけていくのがわかりました。もっと、滞在したかったです。
ジンタくんの写真、コワーク編集長に見せたいので送ります。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →あすけんを卒業して、栄養管理はどうしているんですか。
アプリをやめると、記録も途絶えるのが普通です。ところが、いまも続いているという。しかも手入力はしていないそうですね。
相変わらず、食事の写真は撮っています。変わったのは、そのあとです。
写真を見ながら、音声文字入力でペラペラと喋るんです。「食パン48グラム、オリーブオイル10グラム、純ココア1グラム、点」——この「点」は句読点で、ここで食材が変わるよ、という合図です。ルールとして決めてあります。
音声文字入力というと、まだ馴染みのない方が多いかもしれませんね。でも、やることは簡単で、スマホに向かってペラペラとおしゃべりするだけです。それだけで、喋ったそばから活字になっていく。
これを手で書くことを想像してみてください。「どこどこ邸の何々の図面を書きました」「食パン48グラム、オリーブオイル10グラム」——こんなことを毎日、手帳やアプリにいちいち書き込むわけです。三日で嫌になりますよ。私なら初日で嫌になります(笑)。
喋る分には、面倒がない。むしろ細かいことまで、ついでにどんどん説明できてしまう。書くのは面倒でも、話すのは楽なんです。ここが音声入力のいちばんの良さだと思っています。
喋った記録はObsidianのジャーナルに入ります。ここがミソでね。この場所はAIが読みに行きやすいらしく、各担当のAIがみんなここへ読みに来る。スケジュール担当はスケジュールのことだけ拾ってカレンダーに転記する。栄養管理を担当しているClaude Codeは、食事の記録だけを読み取っていく。
音声入力ですから、うまく変換されない食品もあります。ふりかけの「錦松梅」なんて、「禁商売」になる。商売を禁止するって、何の話だと(笑)。
でも、それでいいんです。Claudeさんが「これはふりかけだ」と学習してくれるので、何回かやるうちに変換ミスごと理解してくれる。後から手で直す必要が、なくなっていきました。
初めての食材が出てきても、ネットの標準成分表を調べに行って、栄養価を引っ張ってきてくれます。
あすけんの情報は分かりやすいけれど、こちらから聞いても答えてはくれません。用意されたグラフを、受動的に見るしかない。
いまは違います。「グラフにして」と言えばグラフになるし、「ここ数日、何が足りない?」と聞けば教えてくれる。こちらから働きかけて、自分の情報を引っ張り出せる。この双方向の良さは、相当なアドバンテージだと思っています。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →このケーキを、どこで食べましたか。
事務所の机の上に見えます。下にカッターマットの目盛りが写っている。仕事の途中ですか。
あれ、事務所の机の上で撮ったこと、バレちゃいましたね。そうです。おやつにいただいた、シャトレーゼのケーキです。
シャトレーゼのケーキは、コストパフォーマンスに優れていますよね。変にこねくり回していないのがいい。素材の良さがそのまま味わえる、そんなケーキです。
ところで、この写真、意外にきれいに撮れていると思いませんか。特別なカメラで撮ったと思われるかもしれません。ところが、なんてことはないんですよ。皆さんも普通に使っていらっしゃる、iPhoneです。
工夫といえば、ポートレートモードを使っていること。ただそれだけです。
あとは、ライティングに若干の一工夫。この光、なんと耐震診断のときに使うヘッドライトなんです。それを逆光気味に当てて、光を作っています。
最後に、iPhoneの編集機能で写真の周囲を少し暗くして、中心を浮かび上がらせる。ひと工夫といえば、そのくらいのものです。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →Sucreは、もう形になっていたんですね。
素材フォルダに、これが入っていました。TOKYO FUCHU/SUCRE。いつ、何のために作られたものですか。どこかに掛かっているんでしょうか。それとも、まだ誰にも見せていないものですか。
編集長、いい質問をしてくれましたね。
サクレの由来を話し出すと、めちゃくちゃ長くなります。この話だけで一本書けるくらいですよ。じゃあ、由来からいきましょう。
私は昭和三十三年、1958年の生まれです。三十代半ばのころですから、三十五年ほど前になりますか。
そのころはインターネットができて間もなくて、ネット環境がある人はとてもとても珍しかった。そんななか、志のある人たちが集まって、インターネット上にフォーラムを作っていたんです。フォーラムを作るためのアプリがありましてね。名前が今すぐ思い出せない。昔のアプリをしまってあるキャビネットがあるから、探せば出てくるかもしれないな。懐かしいね。
そのフォーラムのなかで、私、なんとECサイトをやっていたんです。
三十五年前ですよ。本当に初歩的なもので、いま思うと笑ってしまいますけれど、写真を掲示して、値段をつけて、それを販売していました。販売といっても、フォーラムの仲間に向けたものです。利益を上げようというより、インターネットを通じて物を売るというテストをしていたようなイメージですね。
当時、そんなものはなかったわけです。ネットで買い物をするという発想すら、なかったと思います。まだAmazonもなかったんじゃないかな。
私が三十歳のころ、やっとパーソナルコンピューターというものが世に出てきました。NECのPC-98シリーズがものすごくもてはやされた時期です。私はそれに目もくれず、初めて買ったパソコンがアップルの、当時のマッキントッシュSEでした。
それで、そのECサイトもどきの店の名前が「クリックマーケット サクレ」というんです。
クリックマーケット、いいと思いません? いまでも通じる名前でしょう。商標を取っておけばよかったな、と今でも思います。
——それで、サクレとは何か。
まるでフランス語のような響きに思えませんか。フランスにサクレ・クール寺院という有名な観光地がありますが、綴りは違います。
これはですね、なんと親父ギャグなんです。
私の苗字は佐藤でしょう。佐藤、佐藤と言われると、どこかで私のことをシュガーと呼ぶ人が出てくるわけですよ。シュガーか、と。フランス語で砂糖のことを sucre、シュークルと言うらしい。それを英語読みにして、サクレ。
佐藤を、フランス語にして、英語で読む。それだけです。
いまサクレは、建築以外の仕事の名前になっています。持っている賃貸アパートの名前も、サクレです。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →この看板は、いつ作られたものですか。
自動車のナンバープレートのような形をしています。文字が立体的に見えるので、印刷ではなさそうです。どこで、どうやって作ったものでしょう。
このプレートは、筑波サーキットで作りました。
オートバイのレースではなくて、自動車のレースを観戦に行ったんです。そのとき、サーキットのまわりにいろいろな模擬店が出ていました。飲食店もあったし、自動車の小物やパーツを売る店もあった。そのなかに、こういうプレートを作ってくれる店が出ていたんですね。
金属の板を選んで、色を指定して、文字を打ってもらう。この文字は、裏側から押し出してあるんです。機械のようなもので活字を押し出していたように覚えています。
形は、アメリカの自動車のナンバープレートを模したものでしょうね。
これはクリックマーケットよりもはるかに最近の話で、十年ぐらい前のものです。当時の写真がまだ残っているので、遡れば正確な日付は分かると思います。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →外壁が色褪せてきた、屋根の色が変わってきた。相談のほとんどは、目に見えるところから始まります。でも私が本当に気にしているのは、たいてい別の場所です。
「外壁の色が褪せてきたので、そろそろ塗り替えでしょうか」——このご相談を、ずいぶん受けてきました。屋根の色が変わってきた、というのも同じくらい多い。
気になるのはよく分かります。目に見えますから。ただ私たちの側からすると、見た目の美しさと、建物の機能は、必ずしもイコールではないのです。ここを最初にお伝えしておきたい。
外壁については、塗り替えに意味があります。モルタル壁は色が褪せてくるころ、中性化が進んで強度が落ちていることがある。塗装して雨風から守ってやるのは、悪いことではありません。
ただ屋根は、少し話が違います。「瓦の色が褪せると防水性能が落ちて雨漏りする」——よく聞く話ですが、色褪せが雨漏りに直結するわけではありません。
セメント瓦やスレートは、表面の塗料が剥がれると水が染み込みやすくはなります。けれど屋根の構造はそれほど単純ではなく、それだけで雨漏りに至るケースは稀です。瓦が割れている、大きくずれている——それなら話は別ですが。
では何が雨漏りを起こすのか。色褪せより、私がずっと気にしているのはコケと枯れ葉です。
屋根材には、通気のためのわずかな隙間があります。ここにコケが生えたり、枯れ葉が腐葉土のように溜まって泥になったりすると、隙間が埋まる。埋まった部分が毛細管現象で雨水を吸い上げて、雨漏りになる。
では素人にどう判断せよというのか、と思われるでしょう。正直に言えば、これは一般の方にはかなり難しい。だから専門家に聞いてほしいのですが、ここに一つ注意があります。
建築の仕事をしている人が、全員中立とは限りません。工事を受注する立場の人に「工事が必要ですか」と聞けば、答えは偏ります。頼るべきなのは、中立の立場で判断でき、きちんとライセンスを持っている建築士です。
本当に大事なのは、たいてい見えないところです。床下の木材の水分量を測る。湿度を保つ。地味ですが、家が長持ちするかどうかは、こちらで決まります。
この話は長くなるので、また別の回に。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →19.9パーセント。これは、いい数字ですか。
記事の表紙に使わせていただいた一枚です。ただ、この数字が何を意味するのか、まだ誰も知りません。高いのか、低いのか。この床下を、佐藤さんはどう判断されたんでしょうか。
編集長、とても良い質問だね。鋭いところをついているよ。
19.9パーセント。これは、ぎりぎりの数字なんです。
材木が乾いていると呼んでいい範囲——乾燥材と呼べる範疇は、二十パーセント以下という目安があるんだよ。この計測機械にも誤差はあるから、この数値はほぼ二十パーセントということですね。
じゃあ二十パーセント以下なら安心か、というと、実はそんなこともない。
写真をもう一度見てもらうと、木材が黒く変色しているでしょう。これは長いあいだ高温多湿にさらされた木材に、よく見られる色なんだよ。
この調査をしたときは、まだ涼しい時期だった。秋だったかな。それでこの数字です。ということは、夏や梅雨のときには、この床下がかなりの高温多湿になっている。それが、この木の色から読み取れるんです。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →この瓦礫は、誰かが作業した跡ですか。
基礎に穴が開いているように見えます。まわりに落ちているのは、はつったコンクリートの塊と、木の切れ端でしょうか。ここに潜り込んだとき、最初に何を思いましたか。
確かに、かなりごちゃごちゃした印象に見えますね。その通りなんです。
この家はネズミの害があってね。住んでいる方がネズミ捕りのシートを置いている。それも見て取れるけれど、それ以外にも瓦礫の跡がかなりあって、地面も平らじゃない。散らかっている、という印象そのままです。
残念なんだけれど、長くお住まいのあいだには、いろいろな方が建物に携わります。そんななかで、メンテナンスと称して基礎を壊した人がいるんだよ。
お客様はこのことをご存じないでしょうから、それは仕方がない。屋根裏や床下を見たことのある人は、ほとんどいませんから。こんな様子を見たら、びっくりしてしまうと思います。
調査の仕事をしていてよく思うのは、多くの方が「建築に携わる人イコール専門家」だと思ってしまう、ということです。必ずしも、そうではないんだよ。
世の中には建築士というライセンスがあるわけですから。それを考えると、おのずと分かるんじゃないかな。だから我々のような有資格者の目が、必要になるというわけです。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →指が写っています。片手で押さえているんですね。
柱に水準器を当てている。奥に赤い暖簾のようなものが見えるので、住んでいる方がいる家でしょうか。この道具で何が分かって、分かったあと、施主さんには何と言うんでしょう。
あれ? 指が写っちゃいましたね。そうなんです。一人で調査しているので、指が写ってしまうときもあるんです。
調査写真で難しいのは、記録した数値がきちっと写っていることなんですよ。
たとえばメジャーを使って寸法を測ったとします。そのときフラッシュの光がメジャーに反射して数値が読み取れないと、何のための写真だか分からなくなってしまう。ノギスで壁の厚みを測るときも同じです。光らないように、消えてしまわないように撮る。これが大変でね。
この水準器の写真はお部屋の中なので、普通に撮影ができます。でも屋根裏や床下だとそうはいかない。とても不自然な姿勢をしているにもかかわらず、写真はきれいに撮らなければいけない。
出来上がると、特別なことは何もしていないように見える報告書です。でも、いろいろなテクニックが使われているんですよ。
調査の能力以外に写真の技術まで必要だとは、一般の方はなかなかご存じないかもしれないね。
広いところで自由気ままに撮れるならいいけれど、そんなに都合よくない。特に床下は狭いからね。たとえアシスタントの方がいたとしても、あの狭い空間に二人でいるのは窮屈で、耐えられないと思います(笑)。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →二万二千五百五十七キロ。この数字を撮ったのは、なぜですか。
メーターの写真は、たいてい何かの区切りに撮られます。緑のランプが点いている。エンジンはかかったまま。どこかへ行く途中か、帰り着いたところか。
編集長、よくこの写真をお題に選んでくれたね! バイク好きとしては嬉しいよ。
この写真は私の仕事の相棒「スーパーカブ110プロ」です。形は郵便配達の方が使っているのと同じタイプ、色は赤ではなくてブルーだけどね。
メーターの距離数は、よくよく見ると12,255.7キロだね。昔はこれでずいぶん遠くまで行ったよ。三浦半島に行ったりもしたし、ヤビツ峠にも行った。今まで一番長距離を走ったのは約350キロぐらいだったかな。日帰りだよ。懐かしいな。
最近はツーリングではなく、もっぱら仕事の足として大活躍してくれてるよ。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →二〇二二年のあの日、なぜ絵を描いたんですか。
日付まで入れて、額に入れて。ふつう、ただの落書きは額に入れません。あの日に何があったのか。マン島は、いつから頭にあったんですか。
私はオートバイ好きでしてね。
十八のころ、オートバイの免許を取ろうと思っていた時期に、イギリスのトライアンフに憧れました。それでトライアンフのことを調べるうちに、イギリス領のマン島で伝統的なレースが開催されることを知ったんです。
それからずいぶん時間が経つわけですが、今も毎年レースが行われていて、とても危険なレースだそうです。
レーシング場、サーキットを走るのではありません。一般の市街地を走るそうです。大昔はそれほどスピードが出なかったのかもしれませんが、今はオートバイの性能がものすごく高くなっていますから、三百キロを超えるようなスピードで市街地を走るそうです。
そこで私は——そこをレースではなく、ツーリングで巡りたい。そういう計画があります。
このイラストを描いたのは、二〇二二年の八月ですね。
この頃より少しずつ内臓疾患の症状が現れてきて、二〇二三年五月から通院が始まり、二〇二三年十一月に入院をして、今に至るというところです。
今はオートバイに自由に乗れることを目指して、筋力アップに努めています。
内臓疾患の関係に加えて、薬の副作用もあるのでしょうか。筋肉がすっかり衰えてしまって、いまは大型バイクに乗るのが大変になってきました。
そこで筋力アップなどをして、マン島へツーリングに行くことを目標に、努力しているところです(笑)。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →絵の右上に、もう一つ吹き出しがありました。
「幸せな年のとり方をマスターする!」——マン島の話はうかがいましたが、こちらはまだです。症状が出はじめたころに、この二つを並べて描いておられる。何か意味があるのでしょうか。
この右上の「幸せな年のとり方をマスターする」は、私が所属している勝間塾——勝間和代さんが主催するコミュニティでの、課題なんです。
勝間塾では、勝間和代さんが一年三百六十五日、一日も休まず、毎週ひとつのテーマに沿った「サポートメール」を送ってくださいます。その中に、その一週間のテーマに沿ったお話が書かれていて、毎日三つの課題が出ます。
義務はありませんが、塾生はその答えを書いて、コミュニティのフォーラムに投稿する。そういうことをしています。
私はそのとき、先生のその週のテーマを読んで思いついたことを、このようなイラスト漫画にしていました。
こういうイラストは、四十枚か五十枚あります。
勝間塾の人以外が見ても分からないものもあるのですが、私はその中で、オートバイと掛け合わせたものを何枚か描いています。
以前に出版した『大人の楽しみは「還暦」から』という本の中にも、挿絵として使っています。
このイラストの右上のタイトルは、そんな意味です。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →屋根に唐辛子が刺さっています。あれ、どうやって留めてあるんですか。
あれは何キロあるんでしょうか。それより、建築士としてはどうしても気になるはずです。風が吹いたら、と考えませんでしたか。
この写真も懐かしいです。
いまは内臓疾患のプチ闘病中で、ツーリングを控えています。これは私がよく足しげく通った、道すがらにあるお店です。相模湖から道の駅どうしへ抜ける道の途中。なんとこのお店、キムチ屋さんなんですよ。
商店街でもなければ住宅地でもない。どちらかというと山あいの抜け道の途中に、ポツンとある。とても意外です。
なんといっても、この屋根のどでかい唐辛子が印象的でしょう。リアリティがあって、素晴らしくよくできています。最初はびっくりしましたね。
キムチもいろいろ豊富で、何度か買い求めました。本格のキムチで、とてもおいしいんです。
建築の目線からすると、あんなに大きいものを屋根に乗せているわけですから、台風のときは大変だろうなと思います。ただ、いま改めてあの地形を思い出すと、比較的くぼ地のような感じでしたね。まわりが木で覆われていて、そこにポツンとある。風は和らいでいる地形なのかもしれません。
この唐辛子を見ると、当時の思い出がよみがえってきます。
また行きたい。内臓疾患の具合も、だんだん、改善はしないまでも良い状態を保っています。気力と体力の充実を図って、また足しげく通っていきたいですね。
いや、行きたい、ではなく。行きます。イエスです。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →この距離まで、近づかせてもらえたんですね。
ヤギがこれだけ寄ってくるのは、人に慣れているからでしょう。背景に車と柵が写っている。町のなかにヤギがいる、その場所のことを教えてください。
このヤギの写真、AIの生成画像ではありません。本当にヤギが笑っているんです。
私の友人が「みちくさラボ」というボランティア団体を運営していて、いろいろな地域貢献の活動をしています。その活動での一コマです。
このヤギは友人が飼っているヤギで、メイ太くんと言います。友人はもう一頭、栗色の毛のクリちゃんと、二匹(いや、二人扱いですね)のヤギを飼っています。ペットでもあるのですが、このヤギを通じて地域活動のボランティアをしたり、さまざまな啓発事業に取り組んでいる方です。
この写真は、神奈川県の久里浜駅前のロータリーの空き地です。
そこは駅の施設の一部なんですが、草が生い茂っているので、環境保全に貢献しようとボランティアの方たちと一緒に草むしりをしている、その風景です。もちろん駅の方たちの許可を得ているそうです。
むしった草をヤギの餌にしたり、ヤギが草をはんでロータリーの美観に貢献したりしているんですよ。
もちろん私も一緒に草をむしりました。通りすがりに見かけて撮った写真ではありません(笑)。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →この猫は、何に「Yes!」と言っているんですか。
線に迷いがありません。一発で描いていますね。いつ、何のために描いたものでしょうか。
線に迷いがないって、嬉しいなあ!
そうです、これはほとんど一筆書きに近い状態です。愛用のKindleスクライブのお絵かき機能を使って、「ささっ」と描きました。
イエスというのはね、こんな意味があります。
この猫は、私が通称「イエス猫」と呼んでいて、何でもどんどんやってみよう、という自己啓発をイメージしています。
もちろん自己啓発ですから、私自身にカツを入れるイメージです。えへへ。
耐震、空き家、「うちに来た業者が心配だ」というご家族からのご連絡も承っています。工事を売る立場ではないので、「まだ要りません」とお答えすることもあります。
佐藤靖生建築研究室へ →